アイツは俺たち六甲生は精神年齢が低いという。
俺はそんな事どうでもいいやって思いながら夜のセンター街を歩いていた。
時刻は午後9時過ぎ。
わりあい遅くまで開いていた店もシャッターを下ろし始めた。
俺はツタヤに入って、試聴コーナーへと向う。
店内にはうそ臭いperfumeのシングル曲が流れていた。
俺は少しやりきれなくなって、どうしても聞きたかった玉置浩二の「田園」を手に取った。
試聴コーナーは埋まっていたがすぐに空いた。
ヘッドホンをつけてカウンターにほおづえをつく。
ゆるやかに流れてくる音楽。
俺は少し物思いにふけることにした。
精神年齢というものはひょっとすると存在するのかもしれない。
アイツは特に俺たちの圧倒的経験不足を追及する。
しかし俺には世界はちがった風に映る。
経験不足、精神年齢の低さ、そのどれもが納得しようと思えば納得できるくらいの妥当性がある。
しかし、俺はそれが早計に過ぎないと思う。
なぜならそれはあくまで比較的なものに過ぎないからだ。
俺たちは比較的幸せになるために生きているんじゃない。
俺たちは自分で自分が幸せだと思えるように生きているのである。
「この世界には二種類の人間がいる。前者は、誰かが作ったルールがすべてだと思っている。
しかし俺はそんなもの屁とも思っていない。」
なるほど俺たちは遅れをとっているのかもしれない。
しかし俺たちは俺たちより進んだアイツらよりも高い志を持っているのだから
そんな奴ら一瞬で抜き去ってやればいいのではないだろうか。
現実認識が正しくてもそれにのまれちまう奴は所詮ただのビビリだ。
そもそも俺は誰かがスゲェだなんてそう簡単には思わねぇ。
ましてや自分と同年代の奴に対してはなおさらだ。
「スゲェ」だなんてプライドのねぇ奴のいう言葉だ。
同い年なのにそいつに負けてる自分を肯定してるだけじゃねぇか。
くだらねぇ。
俺は負けなんざ認めねぇ。
四肢もありゃあいままで自分が歩いてきた道だってある。
何をてめぇは諦めてる。
負けを認めネェ限り負けなんてないのに。
俺は怒ってんだ
くだらねぇくだらねぇくだらねぇ。
俺は高みまで行くぞ。
こんな狭くて暗いとこで一生終える気はさらさらないのだ。
今日の俺はそこそこ頑張った。
明日は日曜日。気ままに行こうぜ!